瀬戸内と中四国の名建築を楽しむ(1980年以降)
1980年後半になるとポストモダニズムの旗手である黒川紀章の広島現代美術館、美術館の名手と言われた谷口吉生の猪熊弦一郎現代美術館、磯崎新のサイトスペシフィックな奈義町現代美術館、安藤忠雄のベネッセハウスミュージアムなど、これまでのホワイトキューブな美術館とは一線を画す新たな動きがでてきました。
広島市現代美術館
建築家 黒川紀章
広島県広島市(1989年)
広島市現代美術館は、公立で初めての現代美術館として計画されました。ポストモダニズムの旗手として活躍していた黒川紀章が設計し、共生思想に基づいたポストモダン建築として、現代美術的な美術館となっていた。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
建築家 谷口吉生
香川県丸亀市(1991年)
猪熊弦一郎現代美術館は、猪熊画伯が指名した建築家谷口吉生との対話によって美術館設計が進められた。猪熊画伯が目指したのは他の美術館の手本となるような、また世界にも通用するような美術館であった。
ベネッセハウスミュージアム
建築家 安藤忠雄
香川県直島町(1992年竣工)
ベネッセハウスミュージアムは、「自然・建築・アートの共生」をコンセプトとして直島につくられた最初の美術館。瀬戸内海を望む高台に建ち、大きな開口部から島の自然を内部へと導き入れる構造は、これまでの美術館と一線を画すミュージアムとなっていた。
直島メソッドの出発点となったミュージアムの魅力をみていきます。
亀老山展望台
建築家 隈研吾
愛媛県今治市吉海町(1994年)
亀老山展望台は、建築家隈研吾がバブル時代の失敗や右手の負傷と失意の中で、新たな発想でデザインしたのが亀老山展望公園にある「見えない展望台」であった。東京から撤退し、地方での再出発点がここにあった。
奈義町現代美術館
建築家 磯崎新
岡山県勝田郡奈義町(1994年)
上田正治写真美術館
建築家 高松伸
鳥取県西伯郡伯耆町(1995年)
植田正治写真美術館は、写真家植田正治生誕の地に、植田正治から寄贈された12,000点を半永久的に保存・展示する美術館として計画された。植田正治の意向に沿って町は高松伸を設計者として指名した。
S-HOUSEハウスミュージアム
建築家 妹島和世
岡山県岡山市(1996年)
妹島和世が1996年に完成させた岡山の住宅「S-HOUSE」を2016年より現代美術の新たな実験空間として転用され、一般公開された「S-HOUSE Museum」の魅力をみていきます。
平山郁夫美術館
建築家 今里隆
広島県尾道市(1997年)
平山郁夫美術館は、平山画伯の生まれ故郷である瀬戸内の生口島に設けられた美術館。
平山画伯の自宅を設計し、日本建築の第一人者吉田五十八の元で約20年間務めた今里隆による「平和への祈り」のメッセージとなった。
高知県立牧野植物園
建築家 内藤廣
高知県高知市(1999年)
牧野記念館は、常に新しいことを目指す建築家内藤廣が設計。山麓に位置し、太平洋からの激しい雨や台風の通過道となるなど厳しい気象条件の中でこそ生み出すことができた環境保全型建築となった。
淡路夢舞台
建築家 安藤忠雄
兵庫県淡路市(1999年)
淡路夢舞台は、大阪ベイエリア開発のため土砂採掘場となり、緑が失われた土地約28万平方メートルの敷地を回復させる計画であった。建築家安藤忠雄がグランドデザインをおこなった。