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四国新幹線誘致からみた高松

新幹線と四国の街づくり調査とは

四国新幹線整備促進期成会では、「リニア中央新幹線が新大阪まで延伸される2037年を一つのターゲットとして四国の新幹線の開業を目指す」の実現に向け、中央への要望や広報・啓発に取り組んでいる。期成会では、四国アライアンス地域経済研究会とともに「新幹線を活かした四国の地域づくりビジョン調査」を2018年に実施し、新幹線開業効果を踏まえた四国の地域づくりの基本戦略と将来イメージを提示している。2022年6月に、各県でさらなる議論と関心を喚起するため、四国の新幹線を具体的なイメージで提起することが重要と考え、下記の2点を論点として取りまとめている。①県都のまちづくりの観点から四国の新幹線駅はどこに置くべきかとして、四国4県都の新幹線駅候補地の検討と将来のまちづくりを展望している。②新幹線効果を県内に波及させるために何が必要かとして、二次交通の現状と将来像、各県の新幹線の実現による産業振興や観光などの効果などを探っている。
四国新幹線の整備イメージおよび時間短縮効果予想

 

四国新幹線イメージ図

 

新幹線イメージ図

四国新幹線整備促進期成会資料より

 
 

新幹線イメージ図

四国新幹線整備促進期成会資料より


§1.先行している北陸、九州新幹線の状況について

 新幹線駅の設置場所は、既存の在来線駅への併設が基本となっており、各都市では、駅や駅周辺のまちづくりだけでなく、新幹線整備が契機となって、中心市街地への再開発や、二次交通の再編・整備も相まったコンパクトシティの取り組みなどへの波及がみられた。また、諸般の事情によって既存の在来線駅との併設とならず、新駅が設置された都市・地域では、高速道路のインターチェンジや空港など、他の交通機関の至近に設けられるなど、新駅を中心に新たな交通結節点を形成し、企業進出や工業団地の造成などにより、産業振興に貢献している。新幹線の開業効果は、時間短縮効果や、交流人口の拡大や観光・産業などへの経済効果だけにとどまらず、金沢や鹿児島など開業後5年、10年を経てもなお、再開発等によって都市空間が変貌を遂げていっており、長期的にも効果が得られていた。

長崎市中心部における開発状況
長崎市中心部の開発状況

§2.新幹線高松駅の候補地選定状況
2021年2月に香川経済同友会による提言「四国新幹線開業を見据えたまちづくりの議論」に基づき、以下の4地点を候補地として選定し、概要並びに選定理由を検討している。
1)高松駅付近
2)栗林駅付近
3)伏石駅付近
4)高松空港地下

 

 
四国新幹線高松駅候補地地図

四国新幹線整備促進期成会資料より


1)高松駅付近
現在の高松駅の南側に併設させる案。高松駅は、「四国の玄関口」として宇野(岡山県)と高松を結ぶ連絡船との連絡駅であったため、頭端式構造であり、予讃線や高徳線は、高松駅で折り返し運行する仕組みとなっている。そのため、高松駅東隣にある高松城を避けつつ、徳島方面へ延伸させるため、新幹線駅は現在の高速バスターミナル付近にホームを設置する案となっている。選定理由としては、JR四国で乗降客数が最多のターミナル駅であり、在来線、私鉄、路線バス、高速バス、フェリー乗り場が隣接する、四国最大の交通結節拠点となっており、香川県内全域への移動手段が確保されている。まちづくりの観点からは高松駅周辺のサンポート地区は四国地方を統括する国の行政機関の多くが入居する合同庁舎を始め、徳島文理大学の移転、香川県立体育館の新設など四国内外からの来訪者が期待できる。


四国新幹線高松駅予想図

2)栗林駅付近
高松駅から南2kmに位置する、現在の高徳線栗林駅に併設される案。1970年代当時の本州四国連絡橋公団でもこの付近での新駅設置が検討されていた。瀬戸大橋を通過した新幹線は、坂出周辺からトンネルに入り、栗林公園北側から地上に出て、徳島方面への延伸は高徳線と平行して路線を整備する案。選定理由としては高松駅から3駅目であることから、他線との乗り換えは容易となる。また、栗林駅の約250メートル西に琴電の琴平線が通過していることから、琴電の栗林駅を新設・結節した総合駅とすることで、琴電のターミナル駅で次駅の瓦町駅への移動も容易となり、高松市中心部や周辺地域から、新幹線駅への移動の利便性が格段に向上するとしている。国の特別名勝「栗林公園」に近く、琴電との結節強化により、金比羅宮を始め、香川県内の観光地への移動が便利になり、二次交通の利便性向上に合わせた観光振興策が考えられる。単なる乗換駅にしないためにも、新駅周辺に滞在できる施設の整備や高松市中心部(サンポート地区)とのアクセス強化が期待される。


四国新幹線高松駅栗林駅案図面

3)伏石駅付近
高松駅から南約5kmに位置する琴電伏石駅付近は高松自動車道の高架下に設置されているため、新幹線駅は高速道路上、または高速道路に平行して整備する案。高松自動車道の高松中央インターチェンジも至近な位置にあり、高速道路と一体化させた、産業振興・企業誘致のプロジェクトを推進することで、転出抑制・移住促進の効果が期待できるとしている。


四国新幹線高松駅伏石駅案

4)高松空港地下
高松駅から南に約15kmに位置する高松空港の地下に新幹線駅を設置する。航空機と新幹線、2つの異なる交通特性を融合することで、中四国地域全体のハブ機能を有することができるとしている。


四国新幹線高松空港駅予想図

§3.新幹線と二次交通

県都高松市の公共交通ネットワークの現状と課題
1)鉄軌道…高松市内にはJR四国並びに高松琴平電気鉄道(以下、琴電)の2社が5路線(61km)の鉄道を運行している。高松市の単位面積当たりの鉄軌道延長は0.163km/k㎡と、全国平均(0.066km/k㎡)の約2.5倍となっており、面積当たりの鉄軌道距離は長い。しかしながら、JR四国と琴電の駅の配置関係をみると、いくつかの駅(高松、栗林、屋島など)で近接する場所に駅を設置しているが、相互乗り入れを行っている駅はなく、両社は結節点を持たない。またJR四国のダイヤはJR各社の運行計画に合わせて半期毎に見直されているが、琴電では「パターン運行」を実施しており、ダイヤ変更はあまり行われておらず、2つの鉄道を乗り継いでの移動の利便性は低くなっているとしている。

四国4県の鉄軌道密度の比較表

鉄軌道密度の比較(高松市「高松市総合都市交通計画(改訂版)より)


2)路線バス…路線バスの大半が、高松駅や瓦町を起点として高松市近郊地域に放射線状に拡がっている。また、郊外部においては、コミュニティバスが運行されている。しかしながら、路線バスの多くが長距離運行となっている。しかも鉄道沿線を走っているため、鉄道とバスの路線が重複している箇所が多いうえ、ほとんどの路線が高松駅、瓦町駅に向かうため、高松市街地では多くの路線が同一経路を運行している状況となっている。公共交通と言われながら、民間事業者が運営していることから、各事業者は路線ごとに経済合理性を踏まえた最適運行をおこなっており、県都の公共交通サービス全体でみた、運行の効率化が求められるとしている。

高松市内路線バス図

高松市内の乗り合いバス路線(高松市「高松市総合都市交通計画(改訂版)より)


3)新幹線時代を見据えた二次交通の将来像…既存インフラを効果的に融合させ、鉄道と路線バス間のネットワーク再構築を目指す。香川県の交通インフラのポテンシャルは全国的にみても高い水準にある。高松市内の鉄軌道延長は全国平均の約2.5倍と、面積当たりの鉄軌道距離は長い。また、道路率(道路距離÷面積)をみると、香川の道路率は全国9位で、中四国では最も道路敷設が進んでおり、道路インフラは全国トップクラスレベルの水準にある。この優れた交通インフラを効果的に融合させ、二次交通の利便性向上を目指す必要があるとしている。新幹線のように巨大な一次交通が開業しても、強くしなやかに受け止められる公共交通ネットワークの構築が期待される。

都道府県道路率グラフ

都道府県別道路率(2019年)

香川県の目指すべき公共交通ネットワーク図

香川県の目指すべき交通ネットワーク図(香川県鉄道ネットワークあり方懇談会)


§4.新幹線整備と未来の四国
1)新幹線開業に伴う直接効果として産業面においては交流人口増加によるイノベーションの創造として、国際会議の開催を通じて高松を訪問した海外の企業や学会の主要メンバーとの新たなネットワークを構築することで、革新的なイノベーションが創造されることが期待できるとしている。2)観光面においては瀬戸内海の多島美や四国の豊かな自然に加え、アート、そして「四国遍路」などの観光コンテンツがあり、大阪からの時間的短縮により新たな外国人観光客の誘致は可能としている。3)人口減少抑止効果面として、企業の本社移転では選出先をみると、首都圏から地方に本社を移転した企業は2021年に過去最大の351社となっているが、新幹線が開通している府県や首都圏至近で交通が便利な県が上位となっており、新幹線開業による企業誘致が期待できるとしている。

新幹線を活かした四国の地域づくり3つの基本戦略

新幹線を活かした将来イメージ図