葛西臨海公園
1972年から1996年にかけて行われた「葛西沖開発土地区画整理事業」。葛西沖を埋め立てた造成地には、都市と自然との調和を目指し、”住”のまち「清新町」、”職”のまち「臨海町」、そして”遊”の場に当たる葛西臨海公園・葛西海浜公園からなる、三つのエリアがつくられました。葛西臨海公園は、敷地面積は78万k㎡と都心で最大規模を誇る広大な公園として開発されました。
葛西臨海公園展望広場レストハウス
展望広場レストハウスは、東京都が長年にわたっておこなわれてきた埋め立て事業の完成を記念する施設として、また公園の展望・休憩のための施設として建設されました。
展望台といえば、タワー型の展望台をイメージしますが、このクリスタルビューは高さ11mです。その代わり長辺が74mほどあり、建物内を回遊しながら、それぞれの高さや場所で東京湾や公園内を楽しめるようになっています。
谷口建築の特徴
美術館の名手谷口吉生氏は、ガラスやアルミといった近代的な材料を使い、シンプルな造形の中に圧倒的な美しさと深淵さを表現してきました。ランドスケープを大切にし、水をはじめとする自然の要素や光を巧みに建築に取り入れることでも知られています。
葛西臨海公園ではランドスケープの計画から葛西臨海水族園(1989年)、葛西臨海公園発着場(1993年)、葛西臨海公園広場レストハウス(1995年)を手掛けています。
クリスタルビュー
葛西臨海公園駅からまっすぐ伸びた緩やかな上り坂の先に、透明な鳥居にも見えるガラス張りの箱が視界に入ってきます。空と一体となったクリスタルビューからはどんな景色なのだろうか。メインロードを進むにつれ期待感が高まってきます。
設計
設計にあたっては、公園の休憩・展望施設としての機能と、記念建築の象徴性に加えて、隣接する水族館との建築的調和が求められました。
ガラスの直方体は、公園の自然環境に調和させるように建物高さを低くし、ガラスを用いて目立たなくさせているとともに、隣接する水族館のガラスドームと対になって、配置されています。
谷口吉生氏は「背の高い展望台でなく、回りの木々を超える程度の高さの低い展望台で、海浜公園の海を十分満喫できると思い、しかも多くの人々が同時に展望できる場となる」と設計の意図を語っています。
水族園のガラス張りのエントランスホールは、外観、屋根、柱から通気口や扉に至るまで左右対称の円形ドームによりガラスの美しさを表現しています。一方のクリスタルビューでは円や三角形などが一切除された純粋な幾何学、純粋なキューブ形態、そして建物を非対称とし、軽やかさや動きのある建築によりガラスの美しさを表現しており、ある意味対象的な建物となっています。
建物構造
ガラスとブリッジ・コアの間には水平ブレースが設けられ、横力をコアに伝えることで無柱の内部空間を実現しています。屋根が内部のコアより独立して浮いているため、プロムナードから見たときに内部のボリュームがそのままシルエットとして浮き上がるように見えます。
8mmのガラスは単純なアルミサッシで挟んでいます。サッシを支持しているのは、50mm×100mmの平鋼で、この平鋼が屋根の加重を支えています。
ガラスの中のコンクリート部分には50角の白い磁器質タイルが選ばれています。タイルが使われたことでコア部分が太陽光で浮き上がることもなく、落ち着いた空間をつくり出しています。
動線は緩やかな階段とスロープによる水平の移動空間の連続となっています。これは、多くの来場者が円滑に流れるようにするためと、公園の園路をそのまま空中に延長させ、空を散歩するような立体園路の空間とするためであった。
クリスタルビューの魅力
カーテンウォールにより近代の美意識を突き進めた端正な建物