建築家村野藤吾による旧都ホテル

旧都ホテルの魅力を探る

(ウェスティン都ホテル京都)
建築家 村野藤吾

ウェスティン都ホテル京都

1890年に油商西村仁作氏が吉永園(席貸園遊地)を開業。その園内に息子西村仁兵衛氏により都ホテル(18室)を開業し、その後客室数150室の国内最大ホテルとなった。1906年には大日本ホテル株式会社を設立し、国内のホテルを買収していき、経営するホテルは奈良ホテルなど5館となった。ホテルには国賓として来日していた英国コンノート殿下が御宿泊。それ以来「国賓ホテル」として評価が高まった。ただし、積極経営が裏目に出て西村一族が退任。その後生保団体の支援により1915年に株式会社都ホテルが発足。戦後は米国の軍用宿舎やレストホテルとして使われていたが、1952年のサンフランシスコ条約発効により自由営業が再開し、その後は高度経済成長を経て発展を続け、数多くの国賓を迎えるホテルとして地位を固めた。

都ホテルのノベリティ
本館は建築家片岡安氏が手がけたが、同人の推挙により、その後の新館建築や増改築は村野藤吾氏により約半世紀(1936年~1985年)にわたり手がけられた。

建築家片岡安

1876年 金沢市生まれ
1897年 東京帝国大学卒業
     日本銀行入行し技師となる
1905年 辰野金吾と辰野片岡建築事務所開設
1918年 旧大阪教育保険ビル
1918年 大阪市中央公会堂実施設計を務める
1921年 大阪市役所旧庁舎竣工
1922年 片岡建築事務所を開設
1940年 大阪商工会議所会頭就任
1946年 死去

オペラ・ドメーヌ高麗橋

旧大阪教育保険ビル(オペラ・ドメーヌ高麗橋)
(辰野・片岡建築事務所)

明治から昭和初期に大阪で活躍した建築家。関西建築界の重鎮であり、日本都市計画研究の先駆者でもありました。

建築家 村野藤吾

昭和の建築史の礎を築いた巨匠

折衷様式建築の修練を積み,近代的な表現技法と,伝統的な建築素材のもつ濃やかな情感を体験として探り当て、古典に近代感覚を自由に盛り込んだ作風と、熟達した実務派として高い評価を得た日本を代表する建築家。

1891年 佐賀県生まれ
1910年 八幡製鐵所入社
1913年 早稲田大学理工科電気工学科入学
1915年 早稲田大学建築学科へ転学
1918年 渡辺節建築事務所入社
1925年 ダイビル本館  
1929年 村野建築事務所設立
1930年 欧米に遊学
1931年 綿業会館
1935年 そごう百貨店大阪本店 
1937年 宇部市渡辺翁記念館
1949年 村野・森建築事務所へ改組
1954年 世界平和記念聖堂
1959年 都ホテル新館
1984年 11月26日 永眠

綿業会館

綿業会館(1931年竣工)
設計渡辺節
図面責任者村野藤吾

都ホテルの増改築

片岡安氏から始まる都ホテルの建築は村野藤吾氏に引き継がれたが、景観への配慮を優先し、華頂山に這うように増築、改築が繰り返されていきました。
これについては都ホテル100年史に村野藤吾氏は次のように記述しています。
 優れた地的環境に建つ都ホテルは、それだけですぐに他の追随を許さぬものがあるが、実際こんどの増築を終えて、つくずく変化に富んだ地形と景観の美しさに今さらながら驚いている。しかし、それだけに、設計や実際の工事は決して容易ではなかった。
増改築実績
1936年 5号館増築 1939年 宴会場 1959年 新本館及び和風別館「佳水園」
1969年 新宴会場、南館・11号館増築 1989年 新館(現西館)

旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル

佳水園

元首相清浦圭吾伯の別荘「喜寿庵」とその庭園があったところに建てられた佳水園は、ホテルの7階からアクセスできる離れ和風別館です。数寄屋建築に和風モダニズムを意識してつくられています。緩やかで軽やかな屋根が幾重にも折り重なり、中庭を取り囲んだ上品かつ美しい建物となっています。

建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル

桂離宮の「御幸門」を模した入口檜皮葺の門は、お客を招き入れるように右側門柱が少し前に出ています。

新本館

戦後の増大する観光需要に対応すべく建てられました。三条通側の北立面においては旧本館の意匠を継承して調和を図りましたが、西立面においては客室バルコニーをコンクリート打ち放しのブリーズソレイユとし、横桟の薄い庇と千本格子を用いて数寄屋風の雅やかさを演出しています。

建築家村野藤吾による旧都ホテル

西立面

建築家村野藤吾による旧都ホテル

内側

新館(現西館)

西館が竣工したのは没後の1988年ですが、計画は生前に始まっており、設計段階では直接関わっていました。ここではコロネード、螺旋状の階段等、村野藤吾氏が半世紀かけてつくられてきた旧都ホテルの集大成を味わうことができます。

建築家村野藤吾による旧都ホテル

 

建築家村野藤吾による旧都ホテル

コロネード

建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル
建築家村野藤吾による旧都ホテル

階段の名手と言われた村野藤吾氏によるこの階段は村野デザインの真骨頂の階段となっています。平面形は楕円形が基本となっていますが、幾何学的な楕円形ではなくフリーハンドで描いた優美な曲線です。有機的な螺旋状の階段がロビーからよく見えて、ホテルの宴会場にふさわしい造形となっています。

村野藤吾作品

世界平和記念聖堂

世界平和記念聖堂

米子市公会堂

米子市公会堂

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渡辺翁記念会館

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